◆今回は2023年の3月に実施された2級試験手法分野について解説します。
後日公開
問1は検定 からの出題
検定統計量は
to=(試料平均ー母平均)/(√不偏分散/√試料数)=1.955
となります。
t表の有意水準の棄却限界値はt(9:0.10)=1.833
t表はP/2で表されているので5%の片側検定だと10%の数値が該当し
この数値と比較すると、帰無仮説は棄却される。
7問出題されているが全問正解すべき内容でした。
問2は単回帰分析からの出題
分散分析表は下記のとおり
要因 平方和 自由度 平均平方 分散比
回帰 90.0 1 90.0 37.5>Fo(1、10:0.05)=4.96
残差 24.0 10 2.4
計 114.0 11
ここも7問出題されているが全問正解すべき内容でした。
問3統計量の分布からの出題
中心極限の定理より
①N(μ、σ2乗)→標本平均はN(μ、σ2乗/n)の正規分布に従う。
②標準化すると
(9.95-11.6)/√(1.21/4)=-3.0→P=0.013
よってPr=1-0.013=0.9987
4問出題されているが基本知識で全問正解すべき内容でした。
問4、問5実験計画法からの出題
問4は分散分析表の穴埋め問題
要因Bの平方和
SB=(1616.04+1705.69+1043.29)/4-113.8*113.8/12=12.05
全体の平方和
ST=1119.36-113.8*113.8/12=40.16
よって
誤差平方和
SE=40.16-23.34-12.05=4.77
問5では、
昨年の9月の試験でもデータ構造式での内容でしたが、その時は計算式から求める内容だったので難易度は高かったが、今回は計算方法が与件で明示されているため
一目難しく感じるが、数値を代入するだけで正解できる内容でしたね。
データの計算式に数値を代入すると
・総平均=48/8=6
・α1の推定値=4.5-6=-1.5
・A間平方和=(1.5の2乗+2.5の2乗+1.5の2乗+2.5の2乗)*2=34
・誤差平方和=0.5の2乗*8=2
設問15,16、17が正解したい問題でした。
設問15は、検定の棄却域を答える問題で、この例は左側検定を行うことから容易に正解できた設問です。
また、設問16は、検定統計量の確率(面積)を求める内容でした。表3.1のr=1の数値0.0403か0.0463いずれかが該当すると当たりをつけると、選択肢には0.0463しかなかったので、この選択肢を選べば結果的に正解できたはずです。
そして、設問17はP、Poとの関係を問う内容でした。標本黒碁石比率=1/10より0.1となりますので、おおよそのP<Po=0.4が推定できます。
ちなみに二項分布は、母不適合品率Pからサンプルn個抜き取ったとき、サンプル中に不適合品がx個ある確率Pxは
Px=nCx(P)^x乗*(1-P)^n-x乗となります。
これは覚えておく式です。
この場合、10個のサンプリングにおいて黒碁石が1個となる確率は次の通りとなります。
①10個中黒が0個の場合の確率P(0)は
10C0(0.4)^0乗*(0.6)^10乗=0.0060466
②10個中黒が1個の場合の確率P(1)は
10C1(0.4)^1乗*(0.6)^9乗=0.0040311
有意水準を5%とすると,帰無仮説が成り立つとしたときに黒碁石が1個あるいは0個ある確率は0.0463となります.したがって,帰無仮説は棄却され,対立仮説P<Poが採択されます。
問1 サンプリングに関する問題
めずらしく、選択肢は複数回用いてもよいとなっていましたので、注意が必要で
集落サンプリングの設問5,6が難しかったかと思います。
5問中3問正解できれば良しとしましょう。
JIS Z 8101では集落サンプリングとは
「母集団をいくつかの集落に分割し,全集落からいくつかの集落をランダムに選び,選んだ集落に含まれるサンプリング単位をすべて取るサンプリング。集落は部分母集団の一種で,相互に共通部分を持たず,集落を合わせたものが母集団に一致する。目的とする特性に関して,集落間の差が小さくなるように,集落内のばらつきは大きくなるように集落を設定する。」
と定義されています。
参考:選択肢に下記の語句がありましたので紹介しておきます。
インクリメント
問2 検定・推定
推定では、下記該当数値を当てはめることができたかどうかがポイントでした。
分散が既知の場合
xbar-Z(α/2)*(s/√n)の式に正規分布表 P=0.025→1.96
ただ、P=0.025がPからKpを求める表になく、上段のKp表から探さないとならなかったので、ちょっとどうかと思いますね。
分散が未知の場合
xbar-t(φ、α)*(√V/√n)の式にt表(15、0.05)→2.131
t表は両側確率が表示されているので、ここも注意が必要でした。
検定では、片側検定なのでt表(15、0.10)→1.753の値と検定統計量値と判定したかどうかがポイントでした。
第3問は、確率分布からの出題でした。
設問①は分散の加法性を求める問題は頻出項目でしたので、ミスしたくない問題でした。
第4問は管理図からの問題で、平易な内容だったので、全問正解できた内容でした。
第5問は相関・回帰分析からの出題でした。
設問①の中で、相関係数を求める式は正解したい設問でありましたが、無相関の検定に関する2問はミスしても合格には影響ない問題でした。
設問②は分散分析表からの出題で、4問全問正解したい内容でした。
第6問は実験計画法からの出題で比較的難易度は高かったと思います。
①はμ:総平均=Σデータ/n=6.5
②ai:因子Aの効果=水準の平均と総平均との差のことであるので
a^1=(6+5)/2-6.5=-1.0
a^2=14/2-6.5 =0.5
a^3=19/2-6.5 =3.0
a^4=8/2-6.5 =-2.5
③⑤
総平方和=ΣΣ(データ-水準の平均)の2乗+nΣ(水準の平均-総平均)の2乗
=残差平方和+級間平方和
④ε11=x11-a1-総平均=6-(-1)-6.5=0.5
第7問はアローダイヤグラムの作りか方に関する内容で全問正解すべき問題でした。
第8問は信頼性工学からの出題で、いずれも基本知識で対応可能であったので、全問正解すべき内容だったかと思います