◆今回は2018年の3月に実施された2級試験手法分野について解説します。
この分野からは50問出題されました。

ざっくりと、過去問で勉強してきた基本知識があれば正解可能な問題数は39問~41問で正答率78%~82%ですので、今後2級試験を受験される方は参考にしてください。

 

問1は、「サンプリング」からの出題でしたが、これまでの出題された傾向と違い乱数列で平均値を求め問題でした。このような、初見で、問題文を理解するのに時間がかかりそうな問題は、最初に取り掛かる問題ではないと思います。①、⑤の2問正解できれば良しとしましょう。また、今後2級を受験する人も勉強するような項目ではないと思いますね。

問2は計量値の検定からの出題でした。このような平均値の差を問う問題も2級では初めての出題?だったかと。よって、2~3問できればOKだった内容。

問3は計数値の検定と推定の問題でした。正規近似できるとありますので、計数値の検定まで勉強していない方も、難易度は高くなく、7問全問正解できた内容だったかと。
例えば
検定統計量:u=(xbar-μ)/(σ/√n)
信頼区間:xbar±1.96(σ/√n)
の基本知識があれば十分対応可能な問題でした。

問4は正規分布による確率を問う内容でした。例年出題されているような問題でしたので5問全問正解すべき内容だったでした。ミスしてはいけない問題でした。

問5は管理図からの出題。xbarーR管理図のUCL、LCLを求める問題。3級レベルの難易度でしたのでサービス問題だったかと。しかし、標準偏差からCPを求める2問はミスしてもしかたがない内容でした。

問6相関分析と回帰分析からの出題。散布図から分散分析表を結びつける問題は初見でしたが、落ち着いて対応すれば、基本的な知識で正解できる内容でした。
分散比が大きければ、より直線的な散布図になる。とのざっくりとした基本知識を指します。

問7は実験計画法からの出題。例年並みのの内容だったので、全問正解すべき問題でした。これを間違えては合格は遠いですね。

問8信頼性からの出題で、4問全問正解できる内容でした。

手法分野では50問題数出題されましたが、難易度の高った問題は、問1,2、5②だったかと思う次第です。ただ、全般的には、これまでの傾向と大きな変化はなく、最初に問1からとりかったた人は、時間が足りなかったと思います。
また、問1ような問題文を理解するのに時間がかかる問題、管理図の計数d2を求めて標準偏差を求めるような問題は、今後の受験対策としては範囲外と思う次第です。
社会人の勉強は、効率的に合格することであり、完璧に100点を取ることではありません。

 

 

 

◆今回は2017年の9月に実施された2級試験手法分野について解説します。
この分野からは48問出題されました。

問1は確率分布からの出題
①二項分布、②ポアソン分布からの出題でした。初見の問題でしたが、与えられた数値を代入すれば、答えが算出できる問題でした。③は正規分布からの出題で、巻末の正規分布表を使用するといったおきまりの内容でした。よって7問全問正解すべき内容でした。
二項分布、ポアソン分布については、同じような問題を、2級セミナーでやりましたのでセミナーに参加された皆さんは違和感なく取り組めたと思っています。
もちろん、正規分布表から面積(確率)を求める問題もやっております。
2級セミナーとは、8月19日20日に行ったセミナーを指しています。

問2は計数値の管理図からの出題
np管理図は初見の問題でした。
np管理図のUCL、LCLの求める式まで勉強していた人は少ないのでは?
受験テクニックとしては
CLがnpバーが解れば、数値を代入すると、選択肢ケ、コが該当しないことが判明するので
ウとエが選ぶことができたものですが、いかんせん、試験場の独特の雰囲気では難しかった?
3問正解できれば良しとしましょう。
合格には影響のない問題か思う次第です。

問3はサンプリングから9問の出題
④の集落サンプリングの特徴(部分母集団内のばらつきは大きく)は過去に出題されているので、9問全問正解できた内容だったかと思います。

問4回帰分析からの出題
6問出題されましたが、幾度となく過去に出題されていたので、いずれも基本知識ですべて正解できる内容でした。
相関係数r=Sxy/√Sx*Sy
寄与度=rの2乗
回帰式 y=a+bx とすると b=Sxy/Sx  a=yの平均値ーb*xの平均値
この回帰分析問題も、分散分析用の作り方、回帰式の求め方等をセミナーで説明し、練習問題もやりましたので、参加された方は、サービス問題だったかと。

問5実験計画法で8問
二元配置実験の分散分析表の穴埋め問題でした。
これも過去問を勉強していれば基本知識だけで解ける問題でした。
Sa=74830/8-472*472/24
Sb=55778/6-472*472/24
セミナーでは、具体的な数値を挙げて、級間平方和の求め方をやりましたので、大丈夫と思う次第です。

問6計量規準型一回抜き取り検査からの出題
初見の問題でしたが、内容は平易な問題でしたね。
2級セミナーでも、OC曲線の見方として、α、βの説明しましたし、計数規準型一回抜き取り検査表の見方もやりましたので、なんなくクリアーされたと信じています。

問7新QC7つ道具から4問
設問④以外の3問できればOKとしましょう。

今回は、頻出科目である、検定・推定からの出題はありませんでした。なんか拍子抜けした感が否めません。
総じて、基本知識を取得していれば、合格基準をクリアーできた内容だったかと思います。
社会人の方は、合格にこだわった勉強が大事かと思いますが。

 

 

 ◆2017年の3月に実施された「2級試験実践編」について解説します。
この分野からは51問出題されました。
中でもは下記の9問は難問、奇問であったかと思います。
設問NO:56、62、63、93、94、95、96、97、98
問9
「どんぶり勘定」「虻蜂取らず」のQCでは耳なれない語句が出題されました。
復習する材料ではないと判断します。
問10

計測からの出題で、ノギスの「直線性」「3点以上の測定値」は、ミスしても致し方がない内容で、この語句も復習する必要はないと思う次第です。
問11
ヒストグラム、工程能力指数、分散の加法性などの手法編の知識を問う内容でした。ここは全問正解すべき内容でした。
問12品質の概念からの出題

①魅力的品質 :充足されなくても不満はないが、充足されるとうれしい項目

②一元的品質 :充足されないと不満、充足されるとうれしい項目

③当たり前品質:充足されないと不満、充足されてもとくにうれしくない項目

④無関心品質 :充足されてもされなくても、不満もうれしくもない項目

問14

方針管理からの出題で、平易な内容でした。
問15

①②③は難問でした。
①②はTPMの自主保全活動からの出題でした。
2級レベル表で試験範囲を確認したところ
品質管理周辺の実践活動【言葉として】
・設備管理
が該当すると思いますが、市販のテキスト類でも、記載していなく、ここまで勉強していた人はいないと思います。
③安全管理
アクシデントとインシデントの違いを問う内容で、初見の問題でした。

◆2016年9月実施の2級試験

問1は検定 からの出題
検定統計量は
to=(試料平均ー母平均)/(√不偏分散/√試料数)=1.955
となります。
t表の有意水準の棄却限界値はt(9:0.10)=1.833
t表はP/2で表されているので5%の片側検定だと10%の数値が該当し
この数値と比較すると、帰無仮説は棄却される。

7問出題されているが全問正解すべき内容でした。

問2は単回帰分析からの出題
分散分析表は下記のとおり
要因  平方和  自由度 平均平方  分散比
回帰   90.0        1     90.0     37.5>Fo(1、10:0.05)=4.96
残差   24.0   10  2.4
計    114.0   11 

ここも7問出題されているが全問正解すべき内容でした。

問3統計量の分布からの出題
中心極限の定理より
①N(μ、σ2乗)→標本平均はN(μ、σ2乗/n)の正規分布に従う。

②標準化すると
(9.95-11.6)/√(1.21/4)=-3.0→P=0.013
よってPr=1-0.013=0.9987
4問出題されているが基本知識で全問正解すべき内容でした。

問4、問5実験計画法からの出題
問4は分散分析表の穴埋め問題
要因Bの平方和
SB=(1616.04+1705.69+1043.29)/4-113.8*113.8/12=12.05
全体の平方和
ST=1119.36-113.8*113.8/12=40.16
よって
誤差平方和
SE=40.16-23.34-12.05=4.77

問5では、
昨年の9月の試験でもデータ構造式での内容でしたが、その時は計算式から求める内容だったので難易度は高かったが、今回は計算方法が与件で明示されているため
一目難しく感じるが、数値を代入するだけで正解できる内容でしたね。

データの計算式に数値を代入すると
・総平均=48/8=6
・α1の推定値=4.5-6=-1.5
・A間平方和=(1.5の2乗+2.5の2乗+1.5の2乗+2.5の2乗)*2=34
・誤差平方和=0.5の2乗*8=2

 

 

 

◆2016年3月2級試験(21回)の第1問

 

第1問は”検定”に関する問題で、
「平均(分散既知、未知)の検定、分散の検定、2つの平均の差の検定」から基本知識を問う内容でした。ここでの基本知識は、それぞれの検定統計量の求め方やそれに従う分布を理解していること指しています。
「2つの母平均の差の検定」を勉強していない方でも、設問6はV=平方和/自由度を知っていれば、選択肢から正解を選ぶことができ、いずれの設問も難易度は高くないので、8問全問正解したい問題でした。

正解するための基本知識
・中心極限の定理
平均 μ ,分散 σ 2 をもつ 母集団から無作為抽出によって得られる n 個の標本平均は、n が大きくなるにつれて, X の分布は,平均 μ ,分散 σ 2/ n の正規分布に近づく。
・カイ2乗の検定統計量=平方和/分散
・母分散未知の検定統計量はt分布
第2問の”正規分布(標準化)”です。
この問題は過去の頻出項目ですので、ここはミスしてはいけない問題でした。ただ、「標準化」と聞いて、QCストリーでの標準化や実践分野で扱う標準しか思い浮かばない方は認識を新たにして勉強することが必要です。
①下限規格値を外れる不適合品率は
標準化すると
Z=(550-545)/2.5=2←Kp
巻末の正規分布表(Ⅰ)KpからPを求める表のKp=2.0を探すとP=0.0228となります。

②下限規格値を外れる不適合品を取り除いた後の、平均値は大きくなり、標準偏差は小さくなります。

③標準偏差は
巻末の正規分布表(Ⅱ)PからKpを求める表のP=0.001を探すとKp=3.090となります。
Z=(550-545)/σ=3.090
σ=1.618

ここは4問出題されましたが、全問正解すべき問題です。ここを間違えると合格に影響する設問でした。

第3問は計数値の検定からの出題で、この問題は新規試験追加項目の一つでした。
ただ、ほとんどの2級関連テキストでは、正規分布近似法を用いた計数値の検定を取り上げているので、このような二項分布の確率計算を問う内容は初めてであり、受験生の皆さんは戸惑われたと思います。

だからといって、すべての設問が全問正解できない内容かったといえば、そうでもありません。

設問15,16、17が正解したい問題でした。
設問15は、検定の棄却域を答える問題で、この例は左側検定を行うことから容易に正解できた設問です。
また、設問16は、検定統計量の確率(面積)を求める内容でした。表3.1のr=1の数値0.0403か0.0463いずれかが該当すると当たりをつけると、選択肢には0.0463しかなかったので、この選択肢を選べば結果的に正解できたはずです。
そして、設問17はP、Poとの関係を問う内容でした。標本黒碁石比率=1/10より0.1となりますので、おおよそのP<Po=0.4が推定できます。

ちなみに二項分布は、母不適合品率Pからサンプルn個抜き取ったとき、サンプル中に不適合品がx個ある確率Pxは
Px=CP)^x乗*(1-P)^n-x乗となります。

これは覚えておく式です。

この場合、10個のサンプリングにおいて黒碁石が1個となる確率は次の通りとなります。
①10個中黒が0個の場合の確率P(0)は
10C(0.4)^0乗*(0.6)^10乗=0.0060466

②10個中黒が1個の場合の確率P(1)は
10C(0.4)^1乗*(0.6)^9乗=0.0040311

有意水準を5%とすると,帰無仮説が成り立つとしたときに黒碁石が1個あるいは0個ある確率は0.0463となります.したがって,帰無仮説は棄却され,対立仮説P<Poが採択されます。

第4問はの”相関分析と回帰分析”です。
この問題は、基本知識(相関係数、寄与率、回帰直線)を知っていれば5問全問正解できる内容で、ここはミスしてはいけない問題でしたね。
問題文は気温とアイスクリームの売り上げについて、散布図、データが提示されていますが、実際に問題を解く上で関係ない与件です。

設問の最初に相関係数rを求めると、
r=Sxy/√Sx・√Syにデータを代入すると
√xの平方和=√484.5=22.00568...、√yの平方和=√222.92=14.93058... となり
受験生にとって、不安を感じさせるデータであったと思います。この設問は、相関係数を求める式を知っているかどうかを問う内容であるので、すっきりとなるような数値、例えば225のようなデータを提示してほしいものだと思います。
ただ、寄与率から求めていくと、計算はしやすかったと思いますので、直ぐに設問18から解答するのではなく、設問21まで全体を読み通すことが必要だったかと。
寄与率=Sxy^2/Sx・Syを計算し、その値をルートすると相関係数rとなります。

◆2015年9月実施の2級試験

問1 サンプリングに関する問題
めずらしく、選択肢は複数回用いてもよいとなっていましたので、注意が必要で
集落サンプリングの設問5,6が難しかったかと思います。
5問中3問正解できれば良しとしましょう。

JIS Z 8101では集落サンプリングとは
「母集団をいくつかの集落に分割し,全集落からいくつかの集落をランダムに選び,選んだ集落に含まれるサンプリング単位をすべて取るサンプリング。集落は部分母集団の一種で,相互に共通部分を持たず,集落を合わせたものが母集団に一致する。目的とする特性に関して,集落間の差が小さくなるように,落内のばらつきは大きくなるように集落を設定する。」
と定義されています。

参考:選択肢に下記の語句がありましたので紹介しておきます。
インクリメント

問2 検定・推定
推定では、下記該当数値を当てはめることができたかどうかがポイントでした。
分散が既知の場合
xbar-Z(α/2)*(s/√n)の式に正規分布表 P=0.025→1.96
ただ、P=0.025がPからKpを求める表になく、上段のKp表から探さないとならなかったので、ちょっとどうかと思いますね。

分散が未知の場合
xbar-t(φ、α)*(√V/√n)の式にt表(15、0.05)→2.131
t表は両側確率が表示されているので、ここも注意が必要でした。

検定では、片側検定なのでt表(15、0.10)→1.753の値と検定統計量値と判定したかどうかがポイントでした。

第3問は、確率分布からの出題でした。
設問①は分散の加法性を求める問題は頻出項目でしたので、ミスしたくない問題でした。

第4問は管理図からの問題で、平易な内容だったので、全問正解できた内容でした。

第5問は相関・回帰分析からの出題でした。
設問①の中で、相関係数を求める式は正解したい設問でありましたが、無相関の検定に関する2問はミスしても合格には影響ない問題でした。
設問②は分散分析表からの出題で、4問全問正解したい内容でした。

第6問は実験計画法からの出題で比較的難易度は高かったと思います。
①はμ:総平均=Σデータ/n=6.5
②ai:因子Aの効果=水準の平均と総平均との差のことであるので
a^1=(6+5)/2-6.5=-1.0
a^2=14/2-6.5   =0.5
a^3=19/2-6.5   =3.0
a^4=8/2-6.5    =-2.5
③⑤
総平方和=ΣΣ(データ-水準の平均)の2乗+nΣ(水準の平均-総平均)の2乗
      =残差平方和+級間平方和
④ε11=x11-a1-総平均=6-(-1)-6.5=0.5

 
第7問はアローダイヤグラムの作りか方に関する内容で全問正解すべき問題でした。

第8問は信頼性工学からの出題で、いずれも基本知識で対応可能であったので、全問正解すべき内容だったかと思います